エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません
現在瑠衣に恋人はおらず、気になっている男性もいない。
結婚願望が強いわけではなく、いずれ相手がいればするだろうと漠然と思っていた程度で、おとぎ話や少女漫画のような大恋愛に夢を持っているわけではない。
だからといって、愛のない結婚を許容できるだろうか。
大和は瑠衣に恋愛感情から結婚を申し込んでいるのではなく、恩人からの頼みを聞いたに過ぎない。
事務所を継ぐのに所長の娘と結婚し、跡継ぎをもうけてほしいだなんて、捉えようによっては政略結婚のようなもの。時代と逆行している気さえする。
だけど、大和はそれを受け入れた。
互いに愛はないけれど、瑠衣となら幸せな家庭を築けるかもしれないと言ってくれた。
それならば、目の前の彼と結婚して跡継ぎをもうけることが、自分を自由にさせてくれた両親への恩返しになるのではないか。
「如月法律事務所も、瑠衣も、守らせてほしい」
大和のストレートな言葉に導かれるように、瑠衣はゆっくりと頷いた。
「はい。よろしくお願いします」