エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません
言葉にせずとも欲しいのだと感じてもらえるよう、瑠衣は必死に背伸びをして唇を寄せた。
啄むようなキスを繰り返し、次に彼の薄い下唇をはむっと甘噛みする。
普段主導権を握られているキスを自分からするのは思いの外はずかしく、次にどうするべきか必死に大和のキスを思い出そうと記憶を辿る。
器用で官能的な舌で翻弄し、口の中にも気持ちよくなるポイントがあると教えてくれる大和のキスを真似するなんて、とてもできそうにない。
舌を相手の腔内に含ませるのもままならず、そのまま唇の輪郭をなぞるように舌を這わせると、腰を抱く大和の腕に力がこもり、踵が浮いた。
「んんっ」
息苦しさに首に回していた手を肩に添え、そっと押して彼と距離を取ると、片目を細めて探るように顔を覗き込まれた。
「いつの間にこんな誘うようなキスを覚えた?」
「え?」
「そんな可愛くねだるみたいなキスされたら、理性なんて利かなくなる」
彼の巧みな口戯には程遠いキスによって十二分に煽られた大和は、そのまま瑠衣を抱きかかえると、大股で寝室へと向かう。
そして、夫婦の大きなベッドに横たえると、瑠衣に覆いかぶさりながら前髪をかき上げた。