エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません
北海道、沖縄、京都、金沢。
他にも観光地として人気の高い都市の名前がいくつか挙げられた。
「どこがいい? 軽井沢や日光にある老舗ホテルのもてなしを体験するのもいいし、石垣島へダイビングやパラセーリングをしにいくのも楽しそうだ」
大きなソファにふたりでくっついて座り、大和がピックアップしたホテルや観光地の情報をタブレットで見せてくれる。
結婚一周年を迎えた今月、本来なら当日を含めた数日の休みを取りたいところだが、生憎世間が夏休みの八月はホテルの繁忙期。とても『旅行したいから休みます』とは言えない。
それならば来月あたりに纏めて休みを貰い、ひと月遅れで結婚記念日を祝おうと大和が提案してくれたのは昨日の話。
たった一日でこれだけ瑠衣の好みに沿ったプランをいくつも考えてくれたのだと思うと、彼に対する愛おしさが増すのと同時に、少しだけ申し訳なくなる。
「あの、大和さん」
「ん?」
「実は、話したいことがあって」
互いの肩に触れるほど身を寄せていたのを、姿勢を正してしっかりと視線を合わせた。
すると瑠衣の様子に首をかしげながらも、大和は目で続きを話すように促す。