エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません

そう伝えると、大和は何度も頷きながら「俺もその方が安心だ」と言って、旅行先を選んでいた手元のタブレットで女医のいる評判のいい産婦人科を検索し始める。

「せっかく旅行プランをたくさん考えてくれたのに、すみません。調べてみたら、妊娠初期に旅行するのはリスクがあるみたいで」
「なに言ってるんだ。旅行へはいつだって行ける。結婚一周年の記念の月に、こうして思いがけないプレゼントがやってきたんだ。瑠衣やお腹の子の方が大切だよ」

肩を抱き寄せ、はにかむように微笑んだ大和を見て、彼が心の底から喜んでくれているのだと感じ、胸が詰まる。

温かい家庭に縁がなかったと話していた大和に、自分が家族を作ってあげられる。

鼻の奥がツンと痛み、目頭が熱くなった。

「……瑠衣?」
「ありがとう、大和さん。この子のこと、喜んでくれて」

妊娠がわかった時、瑠衣の脳裏には跡継ぎのことなど欠片も浮かんでこなかった。

ただ愛する大和との子供が自分の胎内に宿ったのが嬉しくて、震えるほど感動した。

今この瞬間、きっと大和も同じ気持ちでいてくれるのだと、彼の表情からわかる。

じわりと瞳が潤みだすのも構わず、思いを伝えようと目を逸らさずに見つめた。

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