エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません

「瑠衣、こっちを見て」

国際弁護士という硬派でどこか禁欲的な印象をもつ肩書きとは違い、あからさまな情欲を孕んだ瞳で見つめられ、瑠衣は羞恥に震えた。

普段の彼はスリーピースのスーツを隙なく着こなし、落ち着いた雰囲気と怜悧な眼差しで職務にあたっているはずなのに。

今自分が見ている彼、夫である高城大和は、鍛えられた逞しく硬質な素肌を晒し、熱っぽい視線を惜しみなくこちらに浴びせながら、そっと大きな手のひらで頬を撫でてくる。

「大和、さん……」

ふたりで大の字に寝転んでも十分に余るほど大きなベッドに組み敷かれ、明かりはカーテンの隙間から差し込む月明かりのみ。

それでも目が慣れてしまって、今夫がどんな顔をして自分を見下ろしているのかがありありとわかる。

洗いざらしの癖のない長めの前髪が片目にかかり、それを鬱陶しそうに手で掻き上げる様がなんとも色っぽく映った。

「辛かったら必ず言って」

入籍して二ヶ月。ふたりでいくつもの夜を過ごしてきた。

夜毎身体を重ね、互いに愛情をもっての結婚ではなかったはずなのに、はじめから彼は優しかった。

痛みを与えないよう丁寧に触れ、丹念に解され、こちらが恥ずかしくなるほど丁重に扱われているのがわかる。

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