エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません
「まずさっきの仕事の件だけど。俺は辞めてほしいとは思っていないよ。瑠衣が続けたいのなら、もちろん続けて構わない」
「よかったです。うちの母は専業主婦だったので、高城さんはどう考えてるのかなって気になって。じゃあ、仕事は続けさせていただきます。もちろん、家事の手は抜かないので」
「さっきも言ったけど、仕事をするのなら無理はしなくていい。料理も洗濯も、休日にふたりで纏めてやればいいんだし。ただ……」
「……ただ?」
言葉を止めた大和を、助手席からそっと見上げる。
「掃除だけは頼めるとありがたい」
瑠衣の脳裏に、本の山に突進するお掃除ロボットの姿が蘇った。
「ふふっ、了解です」
「あと気になってるのは?」
「えっと……」
一番の気がかりは子供をつくるタイミング。
仕事をしてもいいと言ってくれるのなら、今すぐにということはないのかもしれない。
結婚する目的が跡継ぎなのだから、きちんと聞いておいたほうがいいとはわかっているが、昼間の車内で〝いつ頃から子作りしますか?〟なんて聞けるほど肝は据わっていない。
結局、家計の管理や家事の分担、同居するにあたっての簡単なルールなど、普通の新婚夫婦のような会話をして、その日はお開きになった。