エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません
久しぶりの行為に痛みも覚悟していたが、執拗なほど丹念な大和の手ほどきによって、少しの苦痛もなく彼を受け入れられた。
それどころか、今まで感じたことのない愉悦が瑠衣の体内に渦巻き、出口を求めてぐるぐると暴れまわっている。
縋り付くものが欲しくて逆手に枕やシーツを握りしめると、大和は律動を止めて瑠衣の手首を掴んだ。
「瑠衣。つかまるなら、俺にして」
その手を彼に回すように促され、汗ばんだ大きな背中にぎゅっと抱きつくと、耳元で「はぁっ……」と大和の悩ましげな吐息が聞こえた。
高ぶっている身体はそれにすら反応して、なかにいる大和をキツく締め付けてしまう。
「……っく、悪い。動いていいか」
限界を訴えるような大和の声音が、切実に瑠衣だけを欲しがっているかのような錯覚を起こさせる。
たとえ今だけだとしても、甘えてしまいたかった。
「はい。大和さんの好きなように……してください」
今日くらいは、彼とはじめて結ばれたこの夜だけは、愛のない結婚だということも、跡継ぎをつくるために身体を重ねているということも忘れていい。
ただ大和の優しさに甘え、愛されているかのような情事に没頭してみたい。