エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません

染めていないダークブラウンの髪は艶やかで、形のいい額に斜めにかかっている。

シャープな眉に切れ長の大きな目、スッと通った鼻筋に薄い唇と、各パーツすべてが整っていて、まさに容姿端麗と評するに相応しい。

無愛想ではないけれど、騒がしさとは無縁な彼は、まさに理知的な弁護士そのものといった雰囲気だ。

「高城君が瑠衣と結婚して、僕のあとを継いでもらうのはどうだろうと考えているんだ。瑠衣とも知らない仲ではないし、ふたりが一緒になって、その子供が事務所を繋いでいってくれたら嬉しいと」
「お、お父さん⁉」

父の突拍子もない提案に、思わず大きな声が出た。

たしかに彼とはこの家で何度も顔を合わせてはいるけれど、だからといってよく知っているわけではない。

大和は英利が瑠衣の祖父にあたる英雄から受け継いだ『如月法律事務所』で働く弁護士で、英利は彼が大学生の頃から目をかけていた。

彼は大学二年の頃に予備試験をパスし、三年生の夏に司法試験を受けて一発合格。

その年の冬に行われた如月法律事務所のインターンシップでは、弱冠二十一歳という若さながら、参加者の誰よりも優秀だった。

大学卒業後は司法修習を受け弁護士資格を取得すると、そのまま如月法律事務所へ就職。

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