エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません

そして、大和は夫としてとても優秀だった。

食事を作った時や部屋の掃除をした時はもちろん、スーツをクリーニングに出しただけでもお礼を言ってくれるし、弁護士として忙しく働いているにもかかわらず、休日は積極的に家事をこなしてくれる。

忙しいのだから無理しなくていいと言っても、「ふたりの家なんだから、ふたりで家事をするのは当然」だと言って譲らない。

夫の鑑のような人だと思う。

夜は瑠衣が夜勤でない限り、ほぼ毎日のように求められた。

はじめての夜と同様、優しく大切に触れられ、時に焦らすように丁寧に抱かれていれば、結婚のきっかけがどうであれ、大事にされているのだと感じられる。

入籍から一ヶ月過ぎた頃に避妊もやめた。すぐに授かるとは限らないし、瑠衣は今年二十五歳。子供を望むのに早すぎる歳でもない。

ホテルの育休制度なども確認し、職場復帰もできると知ったので、瑠衣に異論はなかった。

早く跡継ぎをつくらなくてはと焦る一方で、義務ではなく夫婦として愛し合いたいという思いが芽生え、大和に抱かれるたびに、愛されているのではと期待に胸がときめく。

日増しにふたりの距離は縮まり、仕事の終わり時間が合えば一緒に帰宅してみたり、互いに言わなくても通じるルールなども少しずつできてきた。

結婚を言い渡された当初感じていた不安が嘘のように幸せな毎日で、瑠衣の心は満たされている。

いずれ大和の子供を授かり、ふたりで大切に育てる未来が待っていると、信じて疑わなかった。


< 70 / 200 >

この作品をシェア

pagetop