余命8ヶ月。


「また次の機会でいいよ。」



微笑んで言ってるけど本当にそれでいいのかな……。



「よし、飯食お!」



速水さんの声で皆さんがご飯を食べ始めた。



「うまっ!」


「これは美味い。」


「スタッフさんに感謝だわ〜。」



皆さんお肉の味をかみ締めながら食べてる。男性がどんどん食べてるのって見るの楽しいんだなぁ。
お兄ちゃんは美味しそうに食べてくれるけどあまり大食いでは無いからこういう感覚はなかったかも。



「君も食べなよ。美味いよ?」


「い、いただきますっ……」



私は箸を持ちお肉を口に入れた。
とろけるようなお肉に私は驚いた。
焼肉ってこんなに美味しいだ。



「美味しいですね。
焼肉なんて久しぶりです。」


「あんまり行かないんだ?」


「両親が亡くなってからあまり外食はしてなくて…だから今日はとても楽しいです。」



2人がいなくなってからお兄ちゃんも私もしばらく抜け殻のようだった。
何とか立ち直ってお兄ちゃんは夢を叶えるために必死に付き人をしたりレッスンをしたりしていて忙しく行く機会がなかった。



「まぁ、喜んでくれてよかった。」



小戸森さんは横顔も綺麗だなぁ。
つい見とれてしまう。



「なぁなぁ、ジャンケンに負けたヤツが1発芸でもしよーぜ!(笑)」



悪巧みという言葉が似合う顔で速水さんは提案した。
< 111 / 306 >

この作品をシェア

pagetop