余命8ヶ月。


「じゃーん!」


「ここ?桜音羽こんな場所知ってたの?」


意外そうなお兄ちゃんに私は堂々と答えた。



「この前小戸森さんが連れてきてくれたの!
幼なじみの人がしてるお店なんだって。
すごく美味しんだよ。」


「ふーん·····。」



明らかにお兄ちゃんが不機嫌になった。
失敗だったかな·····。



「いいの?だーい好きな碧音さんとの場所、俺に教えちゃって。」



なんだかお兄ちゃんの態度の理由がわかった気がした。
心配をしてくれてるのもあるけど嫉妬してるのかな?私は笑いながら聞いた。



「嫉妬?」


「だったら何?」



開き直るお兄ちゃん。



「私が好きなのはお兄ちゃんだよ。」


「·····まぁ入ってみるか。」



お兄ちゃんって結構単純なんだよね。
何だかいいなぁ。
冗談言ったり、笑いあったり、こんな日常が輝いて見える。



「おや、いらっしゃい。」



宇喜多さんが微笑んで出迎えてくれた。



「お兄さんの李桜さん?」



宇喜多さんは芸能界に詳しいのかな。
お兄ちゃんの名前がサラッ出てきた。



「どうも、先日は妹がお世話になりました。」



小戸森さんへの態度とは違い初対面の宇喜多さんにお兄ちゃんはしっかりと挨拶をした。



「若いのにあおよりしっかりしてるねぇ。」



宇喜多さんはのんびりと話す。



「今日も食べきてくれたの?」


「はい、美味しかったので·····!」



宇喜多さんは私でも話しやすいほど穏やかな雰囲気で優しく喋る。
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