余命8ヶ月。
「ザキさんや僕には冷たいのになんで李桜にだけ優しいんすかー。」
「李桜は可愛いからね。」
仲がいいからこその会話なんだろうなぁ。
「出来た!目を開けていいよ。」
木下さんに言われ目を開ける。
川島さんの持っている鏡を見るとそこにはよく知っているのに知らない顔が映っていた。
「本当に男の人みたい·····。」
「これにマスクすれば完璧。
今からの時期ならマフラーで口元を隠すこともできるし。」
「口周りはどうしても女の子の輪郭だしねぇ。でも隠してごらん!」
川島さんがそういうと木下さんはもう1つの紙袋からマフラーより幅の広いストールを出してきた。
「これも·····いいんですか?」
なんだか貰ってばかりで申し訳ない。
「お古で良ければ。」
そう言ってくれたけどまだまだ綺麗なのに。
「早くー」
川島さんが私の首に巻き付けた。
確かに、幅の広いストールだと巻き方によっては口元を隠せる。
「立ってみて。」
立ち上がると全体をおふたりが見る。
「うん。これなら大丈夫。」
おふたりは納得したように頷いている。
「これ、メイクの要点。
ピザ食べたらメイク落としてもう1回今度は教えるから自分でやって見て。」
細かく書かれているメモ。