余命8ヶ月。
木下さんってすごく優しい方なんだなぁ。



「ありがとうございます·····!」



これなら小戸森さんと出歩いてもバレないかもしれない。



「別に、僕はメイクのやりがいがある顔が好きなだけ。
それから名前で呼んでいい?苗字だとめんどくさいし。」


「もちろんです。」



断る理由がない。というか皆さんは普通に呼んでるのに木下さんは確認してくれるんだな。



「じゃあ僕も呼ぼー桜音羽っち♪」



この前も呼んでたと思うんだけど·····川島さんは面白い人だなぁ。



「そうだ。
後で教えるって言っても時間あんまりないし、困ることがあるかもしれないから連絡先交換しよ。
いつでも連絡してきていいよ。
それから僕のことも名前で呼んで。」



木下さんはそう言ってスマホを差し出してきた。



「本当にいつでもいいんですか?」


「桜音羽が困ったことがあったら
いつでもいい。
メイクのことでも、他のことでも。」



もしかしてお兄ちゃんが病気のことを話した相手って楓さんなのかな。
ここには川島さんもいるから確認はできない。



━━ガチャ━━



「「ただいまー!」」


「お前らの家じゃないんだけど。」


「ふふっ 」



お兄ちゃん達が帰ってきた。



「うるさいのが戻ってきたな。」


「楓ちゃんはツンデレなんだからー。」


後ろでそんな会話をしていて振り返ると川島さんが頭を叩かれていた。
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