余命8ヶ月。
「また喧嘩してんの?」
お兄ちゃんの声がした。
このふたりはいつもこんな感じなのかな。
「おー·····?」
私の格好に驚いてる皆さん。
「まぁピザ食べよ。」
「深く考えるのやめーた!」
楓さんが椅子に座ると山崎さんもピザの箱を開け出した。
「桜音羽ちょっと来て。」
お兄ちゃんに呼ばれ私は久しぶりにお兄ちゃんの部屋に入った。
まずは伝えなくちゃ。
「小戸森さんに会えるように考えてくれて····許してくれてありがとう。」
お兄ちゃんは微笑みながら、だけど真面目な声で私に話した。
「正直碧音さんの噂に関しては桜音羽を巻き込んで欲しくないけどわがままを聞くって言っちゃったしね。
会うなら病気のことを含めた上でしっかり考えてね 。⋯これからどうしたいのか。」
1番理解して欲しい人。
お兄ちゃんは理解をしてくれた。
私の人生を私に選択させてくれる。
「ありがと·····っ」
涙が出てきた。
これは悲しい涙じゃない。
切ないわけでも辛いわけでもない。
この感情の名前を私は知らない。
理解してくれて嬉しいのに、不安な気持ちも押し寄せて自分自身よく分からない。
「泣かないでよー。」
頭を撫でてくれるお兄ちゃん。
私はお兄ちゃんの妹でいられて幸せだよ。
一気に色んな感情が押し寄せてまた涙があふれる。
「大丈夫。何があっても桜音羽の味方だから。」
お兄ちゃんはいつまでも理想のお兄ちゃんだ。
私が自分と向き合えるように私の背中を押してくれた。
その気持ちを無駄にしないように頑張るよ。
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