余命8ヶ月。
「えっと、妹です···?」
桜樹の弟と思ってたヤツが急に喋った。
やっぱりこの顔知ってるし、この声も知ってるんだけど。
「嘘でしょ·····。」
こんな形で遭遇するなんて聞いてないし。
「す、すいません。驚かせてしまって·····」
俺の言葉遣い引かれてないかな。
この子には気をつけてるつもりなのに気づかなかったせいで普通に喋ってしまった。
「どうです?頑張ったんですよー。
小戸森先輩に会うために。」
俺のため?あぁ、写真を撮られないためか。
メイクをしてるのに顔が赤いのがわかる。
何それ····勘違いしちゃうんだけど。
「····連絡くれないのに?」
自分のニヤけそうな顔を誤魔化すために俺は聞いた。やな奴だよな。
「そ、れは、お忙しそうなので····!」
必死にそう言ってきた。
可愛すぎるって。
「今度どっか行こ。テーマパークとか。」
「あー!僕も行きたいです!」
「俺も俺もー!連れてってください!」
川島と山崎は空気読めなさすぎだろ。
「僕は嫌いだからパス。」
木下みたいに空気読めよ。
「楓ちゃん行かないの?」
なんで君が引き止めるのよ。
しかも何名前呼び?ちゃん付け?仮にも男の名前気安く呼ぶの?
「人が多くてめんどくさい。」