余命8ヶ月。
1時間も早く家を出ちゃったからそりゃ時間も余るよね。
約束の時間まであと15分くらい。
早く来ちゃったんだから仕方ない。
用事もないしここで待ってよう。
碧音さんが来たら何を話そうかな。
お兄ちゃんの話題を出してもいいかな。
それとも碧音さんの話を沢山聞く?⋯楽しみすぎる。
そんなことばっかり考えていると楓ちゃんからもらった腕時計の針は2時を指すころだった。
「お待たせ。」
「こんにちは。」
碧音さんがやってきた。
だけどいざ目の前に来られると名前を呼ぶのは少し恥ずかしいなぁ。
「んじゃ、行こっか。 」
碧音さんは歩き始めた。
だけど今日はどこに行くのか聞いていない。
メッセージでお楽しみって言われたけど⋯どこなんだろう。
待ち合わせ場所から5分ほどの距離の映画館に到着した。
「恋愛映画って好き?」
「あまり見たことがないです。」
私は本当にお兄ちゃん関連のものしか見ないから映画館も中々来ない。
「見てみる?」
「はい⋯!」
碧音さんと過ごせるならなんでもいいかな、なんて思っちゃったり。
ニヤニヤしながら碧音さんはチケットを買いに行った。
ポーカーフェイス苦手そうだなぁ。
「チケット代払います!」
ひとりで買いに行ってしまったから私はお金を払えなかった。
なので慌てて財布を出して支払おうとした。
「だーめ。」