余命8ヶ月。
「知り合いが出てるって面白いよね。
俺達への態度と全く違うわけだし。」
恋愛映画としての楽しみ方ではなさそうだな。
「なんなら俺らも手を繋いじゃう?」
碧音さんは真顔で言ってきた。
「いやいやいや!?何言ってるんですか!?そんなの·····「冗談だって、そんな拒否んないでよ(笑)」
平然とした顔でそんなことを言う。
碧音さんは大人だから余裕があるんだろうな。
手を繋ぐなんて····彼氏のできたことの無い私には難易度が高すぎる。
「お手洗い⋯行ってきます。」
トイレは男装中だから周りが戸惑わないように多目的トイレ。
手を洗い外に出る。
よし、さっきのことは忘れて普通に接しよう。
「俺はドラマとか映画より舞台が多いんだよね。」
「凄いですね、私なんて想像しただけでも人前なんて緊張しちゃいます。」
急に碧音さんが黙ってしまった。
また失礼なこと言ってしまったかな。
なんて声をかけよう·····。
「名前で呼ぶの嫌?」
今日は碧音さんの名前を呼んでいない。
直接会うと恥ずかしさが勝ってしまった。
「恥ずかしくて·····」
正直にそういった。
「ははっ⋯何それ(笑)」
柔らかい表情の碧音さん。
⋯やっぱり綺麗な顔だなぁ。