余命8ヶ月。


「碧音さん。」


「恥ずかしいんでしょー。
無理に呼ばなくていいよ。
次は━━━━·····」


「碧音さん?」


前を向いていて顔が見えない。
斜め後ろからだと見えるのはサラサラの髪と耳くらいだ。


⋯あ、れ?


碧音さんの耳凄く赤い。
呼んで欲しいって言っときながら碧音さんも恥ずかしいんだ。



「これからは沢山呼びますね。
“碧音さん”」



それから少し歩いて会話して、あっという間に夕方の6時だ。
碧音さんは『シスコンが怒っちゃうから』と笑いながら言って私たちはそれぞれ家に帰って行った。


「ただいまー。」


「おかえり!」


今日は仕事が早く終わったみたいだ。


「今日はね、パスタ作ったんだ。」


自慢げなお兄ちゃん。
だけど私はお見通しなんだ。


「レトルトでしょ。」

「バレちゃった?」


お兄ちゃんが料理なんて出来るわけが無い。
私は椅子に座って正面にいるお兄ちゃんを見た。



「これからどうしたいか⋯考えたよ。」


「そっか。」


いつも通りのお兄ちゃん。
なんて伝えよう。
否定、されちゃうかな。


「····」


「話してみて?出来ることなら協力するから。」
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