余命8ヶ月。

最寄りの駅で降りると雨が降り始めた。



「·····傘忘れちゃった。」



家までは駅から15分くらいだしこのまま行こう。
私は雨に濡れながら歩いた。
少し肌寒い。
季節はとっくに秋になっていた。
今が9月月の終わりだから予測通りだったら来年の3月には死ぬかもしれない。
もう秋のこの空は見れないのか。
お兄ちゃんに···言いたくないなぁ。


━━━ドンッ━━━




「あ·····、すみません。」



スーツを着た男の人は慌てていてそのまま行ってしまった。
忙しいのかもしれない。




━ポツ━ポツ━ポツ━ポツ━





雨が本降りになってきた。
立ち上がらなきゃ。


あ···れ··、立ち上がれない。
早く、家に帰らないと。
私は何とか立ち上がった。



「びしょびしょ·····お風呂入らないと。」



シャワーを浴びてお風呂から上がるとスマホが鳴っていた。
お兄ちゃんから電話だ。



「もしもし?」
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