余命8ヶ月。
「前に君の世界は狭いって言ってたよね。
仕事を始めて少しは広くなった?」
些細な言葉を覚えてくれていた。
碧音さんは記憶力がいいのかな。
「兄と友達と今はカラフルBOYS?」
「確かに前よりは人と関わることが増えたかもしれません。」
「楽しい?」
「知らない世界って怖いけどそれ以上に楽しいことがわかりました。
生きてるって感じがします。」
カラフルBOYSの皆さんは本当に優しくて親友まで出来た。
お兄ちゃんのことはやっぱり大好きだし、私はすごく恵まれてるって思ってる。
「こっち見て。」
それまで見れてなかったけど直接言われると断ることも出来ない。
私はゆっくりと顔を上げて隣にいる碧音さんに視線を向けた。━パチ━っと目が合うと真っ直ぐに私に向けられる瞳。
碧音さんの口は開いて一言、私に伝えてきた。
「君の世界に俺も入れて。」
一瞬、時が止まったように感じた。
だけど私の心臓は煩く脈を打っていて時間が進んでいることを教えられた。
「碧音さん···は、綺麗でかっこよくてキラキラしててこんなにも素敵な人と話してるって自分でもすごく不思議に思ってます。
本当に雲の上の人みたいな感覚で。
だからこそ疑問なんです。どうして碧音さんは私に構うんですか?
どうして、そんなに優しくしてくれるんですか·····?」