余命8ヶ月。
3
一周まわって降りると次の観覧車に乗っていた2人もすぐにやってきた。
私と碧音さんは通常通り。
だって“好き”とか“付き合おう”とは言われていないし、私達はただの知り合い。
仮に言われたとしても私がそれに答えることは無い。
“恋人”になることは絶対にない。
私は病気で残された時間は短い。
碧音さんはアイドル。決してこの境界線を超えることは許されない。多分この人もそれは望んでいない。
だから大丈夫。甘い嘘を少しの間感じたいだけだから。それ以上望むことを私はしない。
その時私は自分の違和感に気づいた。
「御手洗に行ってきますね。」
私は急いで3人のそばを離れ近くの建物の陰に隠れた。さっきまで嘘だったとしても幸せだったのに。右手は震えている。
左手で抑えても震えは止まってくれない。
「桜音羽っち?」
━━━━ビクッ━━━━
不意に声をかけられ驚いた。
私の横へやってきたのは朝陽さん。
慌てて右手を隠したけどバレたみたいだ。
「右手、どうかした?」
私の腕を掴んで朝陽さんは異変に気づいた。
「これは大丈夫なやつ?」
「わかんないです·····。
でも苦しさとかは無いので問題ありませんよ・・・・・・・、」
神様はたくさんのイタズラを私にするんだ。