余命8ヶ月。


窓の外を見ると夜なのに明るかった。理由は高く建っている建物達の光。眩しい。大都会は昼も夜もずっと人の気配がして光が消えることを知らない。外を眺めながら俺はさっきとは比べ物にならないほど小さな声で聞いた。



「普通は好きじゃなかったら繋がないでしょ。」


周作の言葉が胸に突き刺さった。さっきの言葉は取り消したい。こいつは全然優しくない。


「まぁ···、だよなぁ。」


それでも答えが間違ってるとは思えなくて俺は同意した。そもそも、それ以外無いってわかってた。なのに納得出来ない自分がいる。夕方は俺に向かってあんなに顔を真っ赤に染めてたのに。



「手握ったんだ。」

「周作はエスパーなんかじゃないな。」

「めっちゃ突き放すじゃん。」

「····後輩と手を繋いでた。」

「へー。」



世間話でも聞いてるような反応。
別にメンバーの恋愛事情なんてどうでもいいか。俺も興味無いし。


「で?後輩に好きな女取られたって話で終わり?」

「はいはい、それだけですよ。」

「何キレてんの。」


俺は少しイラついた態度で言ってしまった。周作は結構話を聞いてくれるタイプだ。胸にかかった霧をなんとかなくしたくて深く息を吸って一気に声を出した。
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