余命8ヶ月。
みんな真っ白。顔がほとんど分からないほどだ。こんなカラフルBOYSを見れるのも楽しいかもしれない。
だけど沙也加さんは違うみたい。
「なんだか嫌だな。あんな惨めな姿のアイドル誰が推したいと思う?私は断然ミステリアスでかっこいい方がいい。奏みたいな。」
あ·····、どうしよう。頑張ってるお兄ちゃんやカラフルBOYSをそんなふうに言われるのすごく嫌だ。
私は言葉が詰まってしまった。
もちろん奏さんはかっこいいけど粉をかけられて顔が真っ白になっても笑って色んなことを言ってるカラフルBOYSもすごく素敵なのに。
「そういえば桜樹さん?は碧音と知り合いなんでしょ?もしかして·····」
沙也加さんは私の耳元へ近づいて小さな声で言った。誰にも聞かれないように、小さな小さな声で。
『新しい遊び相手?』
そこには嫌な感じしかしなかった。どうしてこの人は私にそんなことを言うんだろう。私が特別じゃないって言いたかった?こんな私に優しくしてるのは気まぐれって。わざわざ教えてくれなくていいのに。そんなの、言われなくたって知ってる。
「碧音はね、私との前にもたーくさん遊んでるからね。まぁ私には本気だったみたいだけど?」
それから沙也加さんはまた明るい笑顔でどこかへ行ってしまった。初めて人の笑顔が怖いと思った。あんな風に華やかな笑顔なのに目の奥はきっと笑っていなかったから。