余命8ヶ月。
楽屋に行くため廊下を歩いていると碧音さんとばったり会えた。私は嬉しさを隠せなかった。



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碧音目線


連日の沙也加からの電話に出る訳では無いがひたすらスマホが鳴って眠れない日々。そんな時に1月から開始のバラエティ番組に先駆けてクリスマスイブの特番が決まった。

そこで奏からのクリスマスプレゼントと言って楽屋での俺らの様子を撮ったり体当たりロケなんかを放送する予定だ。まぁ世間の知らない奏を初めて見せることになる。

おかげで今日はスタジオ収録な訳だけど会いたかった子に会えた。そして嫌いな奴とも遭遇するとは。
なんで川島とそんなに笑顔で話せんだよ。気のせいか前よりも距離が縮まって見える。沙也加へのイライラと朝陽への嫉妬が俺の気分を悪くさせた。


「碧音さん、おはようございます。」

「おはようございます。今日はなんの収録なんすか?もう引っ張りだこっすねー。先輩、聞いてますか?せーんーぱーいー?」


「うっせーな。もう行くから。」


思わず出てしまった低い声に驚いた表情の子。俺は罪悪感と気まずさでその場を逃げた。


本当に俺って····卑怯なやつ。



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桜音羽目線


朝陽さんは楽屋では碧音さんの態度を不思議に思っていたみたいで色々言っていたけど撮影が始まると雰囲気がガラリと変わった。まさに俳優って感じだ。
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