余命8ヶ月。
「その髪飾りつけてくれてるんだね。」

「とても素敵でお気に入りになりました·····!」


たけさんは話題を変えてくれて楽しい雰囲気が車の中に広がった。

なのに私の心は暗く深い闇にいるようだ。






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「送って下さりありがとうございました!」


「いえいえ、またお店で待ってるね。」



家の玄関の前でやっと1人になり一気に疲れた気がした。
・・・・・・色んなことがあったなぁ。
それにしても私は碧音さんの過去は知らないんだよね。碧音さんは知ってる前提で話してたけど。

まだお兄ちゃんの顔が見れそうにないなぁ。こんな嘘つきな私、見せたくない。


・・・・・・・


私は家の鍵を開けることが出来なかった。もっと言えば家に入っていつも通りお兄ちゃんを迎えることが出来ないと思ったんだ。



外は雨が降り始めていた。さっきまで晴れてたのに空は気分屋。神様だってそうかもしれない。



「ビショビショだけど····どうしたの?」



無意識に座っていた場所はカフェの椅子だった。そして目の前にいたのは嘘をつかなくていい人。自然の涙が溢れていた。



「おぉ〜?」


優しく背中をさすってくれる手と優しい声に涙が止まらない。気がつくと私は昨日起こったことを全て話していた。


「自分がやっていることがこんなにも最低なことにやっと気づきました····、嫌いになっちゃいます。」


ずっと嘘をつくのは最低って知っていたはずなのにいざ直面しないと分からないなんて所詮子供だったんだ。



「僕は好きだよ。嘘をつかない桜音羽っちも、相手を思って嘘をつく桜音羽っちも、自分のために嘘をつく桜音羽っちも、ぜーんぶ好き!」
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