余命8ヶ月。
袖をクイッと引っ張り上目遣いの上手い彼女。けどきっと無意識なんだろう。不意打ちに胸を掴まれる感覚だ。


「碧音さん、わがままいいですか?」

「わざわざ聞かなくていいよ(笑)なんでも言って?」



少し目を逸らして悩んでいる彼女。今すぐ抱きしめたくなるほどに可愛らしい。


「名前を呼んで欲しいです····。」


頬を紅く染めている。そんなに恥ずかしく感じるものなのだろうか。
いや、好きな人に呼ばれたら誰だって顔が紅くなる。
ならこの子も?同じ気持ちならどんなに嬉しいか。


自然と口角が上がる。こんなに幸せな気持ちになれることがあるなんて驚きだ。


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