余命8ヶ月。
「今日も体調は良さそうね。」
「はい、自分でも不思議なくらいです。」
「·····体調に気をつけて、何かあったらいつでも連絡して。」
「ありがとうこざいます。」
天野先生と会話を終えると診察室からでた。プロポーズを承諾して3週間、ゆっくりとなら歩けるほどに私の体調は落ち着き始めた。
自分でも驚くほど体も気分もいい。
病は気からって言葉が身に染みてわかるようだった。
しかも·····
「桜音羽、退院おめでとう。」
「ありがとう。お兄ちゃん。」
今日は特別な日になる。
「あれ、出しに行くんでしょ?」
「うん····!」
「俺の許可なしに話進めるとかほんとありえない。」
まだ納得をしてなさそうなお兄ちゃんだけど仕方ないよね。
碧音さんもお兄ちゃんも多忙でいちばん早く会えたのは1週間前。私はお兄ちゃんが結婚するって言ったらたった1週間で納得なんで出来るはずないし。
本当だったら1年は必要だったかもしれないって碧音さんは笑いながら言っていた。
それでも、証人の欄に名前を書いてくれたんだ。
市役所につくとお兄ちゃんに待ってもらうようにお願いした。しっかりと自分の足で持って行きたかったから。
碧音さんと2人で持ってくることはリスクが高すぎる。だけど代理人は嫌だから私が行くことにした。
結婚は公表しないと決めた。今の奏にとって最適じゃないから。それに私も騒ぎ立てられたら体調が悪くなってしまうかもしれないとお互いのことを考えた上でふたりで決めた。
もちろんどこでバレるか分からないから心配事が消える訳では無いけどそれは覚悟している。どんなに非難されても、叩かれてもふたりで生きるって決めたんだから。