余命8ヶ月。
「メンタルが弱くなってるせいか俺が病院に付き添ったりするのも嫌な顔するんです。また色んなことを言われるって····確かに30歳で早いってファンから言われるのは分かってたんですけど彼女の方が年上だし子供も欲しいって思ってるのも知ってたんです。だから決心してプロポーズしたのに·····苦しめることしか出来ない。」



かなり疲れきっている桜樹。こいつの事だし何もかもの責任を感じてるんだろう。確かにカラフルBOYSは国民的アイドルになったと言える。

冠番組もあって、グループとして大きな会場でコンサートもやって、個々の居場所もあるほどに。そんな後輩達を俺は誇りに思ってる。


けどその分些細なことにも風当たりが強いのが今の世の中だ。可愛がってきた後輩たちは何歳になっても可愛い。だからこそ知っている。こいつらがどんなに努力をしているか、どんな思いでカメラの前に立っているのか。



「夫婦のことは夫婦で話せなきゃ解決しないぞ。」


当たり前のことを言って話を流した。桜樹は少し期待をしていたのか肩を落としたように見えた。


「にしてもまさか3周年の時に1人いなくなるなんて思わなかった。早すぎじゃない?」

「何年前の話してるんですか。本人の夢があったら仕方ないですよ。今やタレント兼コスメ品会社の社長ですからね。俺たちが悪く言われないように寝る時間惜しんで頑張ってましたから。楓はいまでも自慢のメンバーです。」

「いい事だね。黒木はもう結婚してたんだっけ?」

「しましたよ。『自分のタイミングは今しかない。それにこの後のメンバーには風当たりも弱くなるでしょ』って。どこまでも最年長って感じです。」


ただ残念なことに黒木より桜樹の方が批判されてるってことか。黒木は元々落ち着いたファンも多いらしいし覚悟してたんだろう。桜樹はまだ見た目も若く見えるしファンも理解が追いつかない。


「お前らってホントすごいね。アイドルとして頂点とれたじゃん。」
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