余命8ヶ月。
明日からも魅せたいパフォーマンスをして、歌いたい歌を作って、元メンバーとバカ騒ぎして、李桜をからかったりしながら俺は笑ってると思う。
人生でいちばん大切なひとを失うことは正直心底怖かった。でもそれ以上に桜音羽から離れて、また孤独になるのは無理だと感じていた。
最期の時間まで精一杯笑顔で過ごして、幸せだけど不安を感じてた。桜音羽がいなくなったらまた孤独に、ひとりになるんじゃないかって。
でも不思議と戻ることは無かった。桜音羽がいなくて辛くて悲しいのに、俺に寄り添ってくれる人は案外いたんだ。
桜音羽に出会う前の俺は見ないようにしてるだけだった。
自分から周りに目を向ければいつだってそこには同じ目線で話せる“友達”や“家族”がいたんだから。
桜音羽のお陰でメンバーとなんでも話せる。桜音羽のお陰でまだ家族もいる。
桜音羽は今の俺を見たらなんて言うかな?
答えは遥か先の未来で歳をとっていない君に聞くことにする。
桜音羽、君は俺が世界を変えてくれたって言ったね。でもそれは俺の方だよ。
桜音羽と出逢って全てが変わった。
あの日会って、話して、泣いて、笑って、桜音羽と過ごしたすべての時間が俺を変えてくれた。
これからも君の事を考えながらも自分なりの人生を生き抜いてみる。
どうかそんな俺の生き方を笑いながらみていて欲しい。