余命8ヶ月。
「漢字は貰わなかったけど『あお』って読むでしょ?それは碧音さんからつけていいって許可を貰ったからって聞いてたんだけど·····、信じらんない。4年間も黙ってたわけー?しかも碧音さんも気づかなかったの!?」


呆れ笑いをしながら李桜の肩を叩くゆきちゃん。『あお』に関しては漢字を見て単純にいい名前としか思わなかったな。


「マジか。照れんじゃん。」

「誰だって自分の子供には憧れの人の名前をつけたいだけ。空桜ー1回外行くぞ。」

「はーい!」

「何あれ·····相変わらず俺の事超嫌いじゃん。」

「あはは·····!嫌いなのは建前って知ってるくせに。空桜!ママと柚羽とお買い物行こ!」

「うん!柚羽と行く!」

「パパを裏切んな!空桜!」

「だってー、柚羽のお兄ちゃんだから僕が守らなきゃ!」


空桜は輝いた瞳で妹を見つめるとそのまま3人で買い物に行ってしまった。
まるで李桜が桜音羽を見つめるときのような瞳だった。


「いい兄妹だな。」

「····お互いに自立はして欲しいけど。」


李桜は桜音羽を思い浮かべてシスコンすぎる自分を否定したようだった。


「俺は好きだけどね。ブラコンとシスコン。」


「そんなことよりやっぱ破天荒すぎ。ソロとしてアメリカでコンサートの噂あったのになんで今更グループに戻るのかわかんないし。」

「噂ってホントすぐ流れるよね。まぁオファーはあったけど。」

「なんでチャンスを手放すんですか。」


李桜は少しムスッとしていた。俺の事でそんな感情になってくれることを少し嬉しく感じる。

さっきだって『憧れの人の名前』なんて言ってくれるし。言った後に恥ずかしくて空桜と逃げようとしたんだろうな。

< 304 / 306 >

この作品をシェア

pagetop