余命8ヶ月。
「頼むから仕事って忘れないで。」
「俺らの6年間、帳消しにするつもりかよ。」
━━プルル━━プルルルル━━━
私のスマホだ。
「あ、お兄ちゃんもしもし?」
「どこにいるの!?
挨拶回りして戻ってきたらいないんだけど!?」
かなり心配してる様子。
「ごめんね。すぐ戻るから!」
電話を切ると皆さんに見られていた。
「じゃあ俺、送ってくよ。
知らない場所から元の部屋に戻るのは大変でしょ。」
「おー。」
「行ってら。」
小戸森さんは楽屋の扉を開いた。
「行くよ?」
「いえ、1人で戻れるので大丈夫です。」
そんなに迷惑ばかりかけられない。
通りすがりの人に聞けばすぐにカラフルBOYSの楽屋に戻れるはず。
「君は強がりなんだろうけどこういう時は“ありがとう”ってその言葉だけで充分なんだよ。」
不思議だな。
小戸森さんの言葉は否定できない。