余命8ヶ月。
「おと、着いたよ。」
お兄ちゃんにそう言われ車をおりる。
運転手さんにお礼を言って私達は家に入った。
「はぁー、楽しかった。」
満足な様子のお兄ちゃん。
想像通りのパフォーマンスができたんだ。
「あ、桜音羽、話があるって言ってたよね?
なに?」
━━ドクン━━
ついにこの時間がやってきた。
話さなくちゃ·····。
「お風呂に入ってからにしよ!」
「まさか·····」
お兄ちゃんの顔色が曇った。
もしかして気づいてるの?
━ドクン━ドクン━ドクン━
「彼氏が出来たの!?」
「ふぇっ!?」
至って真面目な顔のお兄ちゃん。
「違うよぉ。」
とりあえず今日の疲れをとることにした。
今日は色んな人と関わったなぁ。
小戸森さんとは初対面なのに家族の話なんてしたし、色んな方の曲を聴くのも楽しかった。
今度お兄ちゃんにスカート返しといてもらわなきゃ。
·····もう会うこともないんだなぁ。
私あと少しで死んじゃうのにすごく楽しかったんだ。全部消えてなくなっちゃうのに。
「桜音羽、お茶どーぞ。」
お兄ちゃんは私が話しやすいようにお茶を出して椅子に座り正面にいる。
私は覚悟を決めた。