余命8ヶ月。
ご結婚されてたっけ?29歳だし·····色んな事情があるかもしれない。
「えっと、お邪魔しちゃ悪いですしこれで失礼します。」
よし、お店を出よう。
私はお店の扉を開こうとした。
「ちょっ·····と、」
小さく小戸森さんの声が聞こえてそれと同時に腕を掴まれている。
大きな手は私の手首を包み込んだ。
振り返ると小戸森さんと目が合っていて綺麗な瞳に思わず吸い込まれそうで顔を下に向けた。
「せっかくだから昨日のお詫びも兼ねて君に買おうって言ってるんだけど·····?」
顔を覗き込まれてしまった。
「昨日·····?」
私は特に思い浮かばなかった。
「ズボン、汚しちゃったから。」
「あー····」
やっと思い出した。
でも洗濯すると落ちたから大丈夫なんだけどな。
「洗ったら綺麗になったんで大丈夫ですよ?」