余命8ヶ月。
木の間から差し込む光がそのお家を照らしている。
「どうぞ。」
小戸森さんは引き戸をそっと開けて私を見ながらそう言った。
「·····お邪魔します。」
小さめの声で挨拶をしてみた。
「いらっしゃいませ。」
「久しぶり。」
小戸森さんが顔を見せると優しい雰囲気の着物を着た男性は少し驚いていた。
「ほぉ?」
そして微笑んだ。
「初めまして。
あおの幼なじみでこの茶房の店主、宇喜多 丈人 (うきた たけと)です。
みんなたけって呼ぶから君もそう呼んでね。」
茶房って喫茶店みたいなのかな?ここはお店だったんだ。
速水さんもそうだったけど仲のいい人は小戸森さんのことを(あお)って呼ぶんだ。なんか、そういうのいいなぁ。
「メンバーの太陽とたけと俺は幼なじみ。」
速水さんは幼なじみだったんだ。
小さい頃から一緒にいて今はアイドルやってるなんてすごいなぁ。
「いつもの席。」
「どーぞ、どーぞ。」
“いつもの席”ってことはよく来るのかな。靴を脱いで入るなんて本当に家みたいだなぁ。
「こっちは一般のお客さんを通す部屋。」
宇喜多さんが教えてくれた先には木製のテーブルや椅子がある。