余命8ヶ月。
「いいから。」
押し切られてしまった。
「では·····いただきます。」
あまり食べる機会もないし、ぜんざいって初めてかも。
口に入れると甘い香りが広がった。
おもちも食べてみる。
当然だけど····もちもちしてる。
お抹茶も飲んでみよう。
苦いけど甘いぜんざいを食べたあとだとちょうどいいかも。体が温まる。
「美味しい·····。」
ぜんざいってこんなに美味しいんだ。
「笑顔。」
小戸森さんが喋った。
· · · · ·?
その言葉だけでは何の話か分からなかった。
「笑うの苦手って言ってたよね。
だけど今、凄い穏やかな笑顔だよ。」
「笑ってました?」
小戸森さんは頷いた。
私が?笑ってる?会ってたった2回目の人の前で?
「優しいからみんなそばに居てくれるって言ってたけど、絶対違う。
だって人間ってそんな良い奴じゃないから。
まぁ建前で笑顔で過ごしたりもするけど雑談したり、ふざけたり、心の底から笑うって大切な人の前じゃなきゃ出来ない。
きっと君は本当に大切な人を分かってて、だから家族の前とかでしか笑えないんじゃない?」