余命8ヶ月。
大切な人を分かってる····。
そんな捉え方もあるのかな。
「·····そうなんでしょうか。」
「きっとね。
だから君の周りにいる人は大切って思われてる自覚があるから君自身を大切にするんだと思う。」
今までそう思って欲しかったわけじゃない。笑うことが苦手なのも本当。
でも誰かにそう言って貰えるだけで心はこんなにも軽くなるんだ。
私は大切な人に笑えてたんだ。
「あり、がとう···ご··ざいます。」
上手く声が出なかった。
小戸森さんが慌てているのはきっと私の涙のせい。
この日私は初めて知った。
涙は悲しい時だけじゃない。
嬉しい時にも溢れてくるんだって。
それから2人でぜんざいとお抹茶を食した。
2人の食べる音以外何も聞こえない。
街中なのにこんなにもゆっくり時間が流れている場所があったんだ。
「·····私、先生に言われたんです。
“今”を必死に生きて欲しいって。
特に趣味もないですし、唯一兄に勧められて通っている大学にも行く意味が分からなくなってしまって·····」