余命8ヶ月。

「すみません。」

小戸森さんは素直に謝ってた。
開演?てことは舞台とかなのかな。



「早く行きますよ!」


「あー···ごめん。
右の通路を通っていけば楽屋があるから先に行っといて。」


「は···い··、」



何とか返事するのがやっと。
小戸森さんが行くと他のスタッフさんたちもいなくなった。



━ドク━ドク━ドク━

·····走ったのいつぶりだろう。
もう随分走ってなかったな。
私の病気って運動はしても大丈夫だったけ。



「ヒュー·····ヒュー·····」



あ·····れ、呼吸が·····━━ガクン━━


力が抜けて座り込んでしまった。



「ヒュー·····ヒュ·····」



呼吸が整わない。



「大丈夫っすか?」



誰かが私に声をかけてきた。
返事しなくちゃ·····。



「は·····ヒュー·····」


“はい、大丈夫です”


そう答えたいのに声が出ない。



「ん?桜音羽ちゃん!?」



聞いたことのある声。
何とか顔を見ると奏のメンバー速水さんだった。



「ごめんね。抱えるよ。」



━━フワッ━━


へ·····?
< 90 / 306 >

この作品をシェア

pagetop