余命8ヶ月。
「すみません。」
小戸森さんは素直に謝ってた。
開演?てことは舞台とかなのかな。
「早く行きますよ!」
「あー···ごめん。
右の通路を通っていけば楽屋があるから先に行っといて。」
「は···い··、」
何とか返事するのがやっと。
小戸森さんが行くと他のスタッフさんたちもいなくなった。
━ドク━ドク━ドク━
·····走ったのいつぶりだろう。
もう随分走ってなかったな。
私の病気って運動はしても大丈夫だったけ。
「ヒュー·····ヒュー·····」
あ·····れ、呼吸が·····━━ガクン━━
力が抜けて座り込んでしまった。
「ヒュー·····ヒュ·····」
呼吸が整わない。
「大丈夫っすか?」
誰かが私に声をかけてきた。
返事しなくちゃ·····。
「は·····ヒュー·····」
“はい、大丈夫です”
そう答えたいのに声が出ない。
「ん?桜音羽ちゃん!?」
聞いたことのある声。
何とか顔を見ると奏のメンバー速水さんだった。
「ごめんね。抱えるよ。」
━━フワッ━━
へ·····?