余命8ヶ月。
どうしよう·····大人の男の人に怒られるとこんなにも怖いんだ。足がすくむ。
でも、私は小戸森さんが凄い人の息子なんて知らなかった。かっこいいから近づいたわけでも、下心があった訳でもない。


私は自分の手を握りしめた。




「っ·····、私は、本当に知りませんでした。
下心があったわけでもありません·····今日限りで小戸森さんとは関わらないので安心してください。」



言っちゃった·····。


でも元々私は一般人。
お兄ちゃんの手伝いに来なければ一生縁のなかった世界だ。
私はアイドルが好きな訳でもないし、テレビに興味もない。
ただお兄ちゃんが好きだからテレビを見てカラフルBOYSの皆さんを知って、奏さんも見てた。だけど好きだった訳でもない。
小戸森さんは私にとって無関係な人なんだ。



「何やってんの?」


「碧音····」



小戸森さんが真っ黒の衣装らしきものを着て戻ってきた。



「べ、別になんでもないよ。」


速水さんは嘘をつくのが苦手そう。


「碧音に近づくなって言っただけ。」


飛鳥馬さんは隠すことなく素直に伝えていた。



「近づいたのは俺なんだけど?今日は偶然遭遇しただけだし。
それでこの子のことを怖がらせたんなら俺は容赦しない。」
< 95 / 306 >

この作品をシェア

pagetop