【完結】吸血鬼の花嫁~罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています~
「これからは毎日名前で呼んで?」
「え……?」
「オスヴァルト」

 そう耳元で囁かれたフィーネはさっきよりももっと体が熱くなる。
 少しの間二人は無言で馬車の揺れに身を任せていたが、か細い声で彼女が呟いた。


「オ、オスヴァルト様……」
「──っ!」

 思いのほか彼女の名前呼びは強力な武器になったようで、オスヴァルトは彼女を抱きしめながらびくりと身体をはねさせる。
 そして顔を少し赤らめて目を泳がせたが、彼女にはその様子は見えていない──

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