【完結】吸血鬼の花嫁~罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています~
「これからは週に一度は会いに来るよ」
「ありがとうございます」
「最初婚約者としてが難しかったら、お兄さんだと思ってくれていいからね」
「……おにいさま?」
「ああ、君の好きなこととか、逆に嫌いなこととか話してくれるだけでいいよ」

 フィーネはなんだか初めての感覚に陥る。
 彼は笑っているのに、優しいのに、なんだか寂しそうな……。

「さみしい?」
「え?」

 思わず口をついてしまったことに気づいたのか、慌ててフィーネは小さな両手で口元を覆う。

「もうしわけございません。なんでもありません」
「いや、大丈夫だよ。僕は君がいるから寂しくないよ」

 そう言って初日の対面は終えた──

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