【完結】吸血鬼の花嫁~罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています~
 フィーネは馬車の中で再び涙を流して、目の前に座るミルクティー色の髪をした彼を見る。
 記憶の中の少年がまさかこんなに立派な男性として現れるなんて、夢にも思わなかったフィーネは感情が高ぶってどうしていいかわからない。

「あの後、伯爵夫人に君は死んだと聞かされてね。絶望したよ」
「そうでしたか……」
「何かおかしいと思って調べていたんだ。そしたら教会に似た容姿の聖女がいると社交界で話しているのを聞いてね」

 オズの大きな手がフィーネの両手を包み込む。

「ようやく会えた。十年かかってしまったけど、もう一度僕と一緒にいてくれるかい?」

 フィーネはその手を握り返して、久々の笑顔を見せて言った。


「はいっ!」

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