【完結】吸血鬼の花嫁~罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています~
 そんな時、ある貴族がフィーネを買いたいとやって来たのだ。
 神父はこのあたりではみたことのない貴族だったため、相手の機嫌を損ねないように慎重に尋ねた。

「あのー失礼ですが、どちらのお貴族様でしょうか?」
「私はオスヴァルト・エルツェだ。ここにいるフィーネという聖女を買いたい」
「──なっ! エルツェ卿ですと?!」
「ああ、身分証でも見せようか」

 そう言って懐から紋章の入った身分証を出すと、神父は腰を抜かす寸前という様子で驚く。
 そして慌ててフィーネのいる地下牢へと走っていった。

「フィーネ!!!」
「はい、神父様」
「お前の買い手が見つかったぞ。なんとエルツェ卿だっ!! 王太子の従兄弟だぞ?! 絶対に失敗するな!!」
「は、はい……!」

 フィーネはやせ細った腕を強引に掴まれて地下牢から引っ張り出されると、そのままオスヴァルトの前に差し出される。

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