【完結】吸血鬼の花嫁～罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています～

「すごいお部屋」
「ここがフィーネ様のお部屋でございます。オズ様のご指示通りに一通りそろえておりますが、何かご入用のものがあればおっしゃってください」
「そんなっ！　こんなに立派なお部屋、十分です！　……触ってもいいですか？」
「もちろんでございます」

　フィーネは感動でそれ以上言葉が出なかった。
　真っ白なシーツを触るとそれはふわふわとしてあたたかく、いい香りがする。
　日当たりもよく、窓の外を覗くと庭師がちょうど庭の手入れをしていたところで、彼がフィーネに向かってお辞儀をした。
　本棚には伯爵家にいた頃にも見たことがないような量の本が並んでいる。

「フィーネ様、気に入っていただけましたでしょうか？」
「はいっ！　ありがとうございます、リンさん！」
「リンで問題ございません」
「え？」
「私はフィーネ様にお仕えする身です。そのように呼ばれてしまうのは恐れ多い事でございます」

　すると、そう言うリンに対してフィーネは少し考えた様子になり、そしていい案を思いついたようにポンと手を叩くと、笑顔でリンの手を握る。