【完結】吸血鬼の花嫁~罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています~
「フィーネでございます。こちらで大丈夫でしょうか?!」
「ああ、もらいうける」
「ありがとうございます!! あのー……費用のほうですが……」
「これで足りるか?」

 神父は袋の中身を確認すると、あまりの大金に思わずひれ伏した。

「ありがとうございます! ぜひフィーネをよろしくお願いいたします!」
「ああ」

 フィーネは太陽の光で眩しく目を細めながらなんとかオスヴァルトを見上げる。
 ミルクティー色のそのふんわりとした髪は実に気持ちよさそうだな、とフィーネは思った。

「行こうか、フィーネ」
「はい」

 オスヴァルトはフィーネの汚れた手を取って、馬車へと誘う。
 馬車に乗ること自体初めてだったフィーネは戸惑いを隠せない。
 すると、オスヴァルトがフィーネを優しく抱きかかえてそのまま馬車に乗り込む。
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