【完結】吸血鬼の花嫁~罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています~

第2話 稀血の聖女

「今日から私の妻だ。稀血の聖女、フィーネ」
「まれち……?」

 サファイアブルーの瞳はフィーネを見つめて逃がさなかった。

「君の血は稀血といってとっても魅力のある血なんだ。甘くて香しい匂いをしてる」
「そんなこと誰にも言われたことない……」
「ああ、だって魅力的な血なのは『吸血鬼(ヴァンパイア)』にとってだからね」
「ヴァンパイア……!?」

 馬車はゆっくりと進み始めてガタンと揺れた。
 その拍子にフィーネはよろけてオスヴァルトの胸元に飛び込む形で倒れてしまう。

「も、申し訳ございませんっ! エルツェこうしゃ……っ!」

 フィーネはそこで彼の正体に気づいてしまった。

(犬歯が長い……まるで牙みたい。それに目が……赤い……)

 オスヴァルトはそっと目を閉じると元のサファイアブルーの目に戻り、フィーネに優しく微笑みかける。

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