【完結】吸血鬼の花嫁~罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています~
「ええ、おそらく人員もかかりますし、すぐにできるものではないと思いますが」
「いや、それ、いいかもしれない」

 さっと山積みにしてあった資料の束から該当の資料を手に取ると、さっと目を通していく。
 実は領地改革にはいくつもの問題が並行しておこっており、代表的な二つが川の氾濫問題と働き口不足だった。
 作物も育ちにくいその辺境部では、一次産業も育たずに、ただ隣国からの移住民なども多く入ってきて町に人があふれかえっていた。

 オズは資料を順番に眺めると、頭の中でシミュレーションをしてみる。

「もしかしたらいけるかもしれない」
「え?」
「ありがとう! 実は辺境部で川の氾濫と人口増加が問題でね、それを解決する仕事を請け負ってたんだ。その堤防を作る公共事業を作ってしまえば、働き口も確保できるし、いけそうだ!」
「私、お役に立ちました……か?」

 オズはがばっとフィーネを抱きしめると、嬉しそうにそのまま少し飛び跳ねる。

「大活躍だよ!! これで僕のクビがつながった!!」

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