【完結】吸血鬼の花嫁~罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています~
 そんな大変なことになっていらっしゃったのね、とふと思ったが、いつもみたいな紳士のように大人な様子ではなく、子供のように喜ぶ彼を見てなんだか可愛いと思ってしまう。


 数日後、この案を王太子に提出して無事に可決された後、堤防作成の事業は正式に開始した。
 王都から技術者も送り、街としての機能を整える準備をしているのだそう。

 そんなフィーネの支えもあって仕事を無事にこなしたオズは、久々にフィーネとアフタヌーンティーを楽しんでいた。

「フィーネは昔からベリーが好きだったね」
「はい、ベリーはとても好きです! 見た目も可愛いので!」

 君の方が可愛い、なんてふとオズの心の中では再生されたのだが、あまりにもキザすぎるか、と言うのをやめた。
 紅茶とシフォンケーキが並んでいるテーブルにはひらひらと薔薇の花びらが舞って来る。

「ここは綺麗ですね」
「ああ、母上が大切にしてるんだ。父上が薔薇をプロポーズの時に送ったそうでね」
「わあ! 素敵ですね!」
「そうかい?」
「はいっ! 私も好きですよ、薔薇」

 そんな風に言いながらテーブルに落ちてきた薔薇の花びらを拾って匂いを楽しむ。
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