【完結】吸血鬼の花嫁~罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています~
「気づいたかい? そう、私は吸血鬼だよ」
「吸血鬼……」
吸血鬼は伝承や絵本の中でしか出てこない存在であり、こうして目の前に本当に現れたことに驚きを隠せないフィーネ。
「君はね、稀血でね、吸血鬼からしたらご馳走なんだよ」
その言葉に思わず息を飲む。
まるで目の前の男にこれから命を奪われるような、そんな緊張感がフィーネの中に走った。
(そうか……私はこの方に食べられるために身請けされたのね)
フィーネは自分のこの後の行く末を想像して、虚無感漂う表情になる。
(これまでもたくさん辛いことがあったし、何度も身請けがうまくいかなかった)
そう心の中で思いながら、フィーネは目を閉じて今までのことを思い出す。
虐げられて食事もまともに与えられてなかったことでやせ細り、身体目当てだった貴族には失望された。
また別の貴族には翡翠の目が気持ち悪いからと、その場で断られ雪の降る寒い外に置き去りにされた。
それにある貴族の家に行ったときには、うまく食事が用意できずに熱いスープをかけられてやけどをした。
頭の中にあの頃の言葉たちがこだまする──
「吸血鬼……」
吸血鬼は伝承や絵本の中でしか出てこない存在であり、こうして目の前に本当に現れたことに驚きを隠せないフィーネ。
「君はね、稀血でね、吸血鬼からしたらご馳走なんだよ」
その言葉に思わず息を飲む。
まるで目の前の男にこれから命を奪われるような、そんな緊張感がフィーネの中に走った。
(そうか……私はこの方に食べられるために身請けされたのね)
フィーネは自分のこの後の行く末を想像して、虚無感漂う表情になる。
(これまでもたくさん辛いことがあったし、何度も身請けがうまくいかなかった)
そう心の中で思いながら、フィーネは目を閉じて今までのことを思い出す。
虐げられて食事もまともに与えられてなかったことでやせ細り、身体目当てだった貴族には失望された。
また別の貴族には翡翠の目が気持ち悪いからと、その場で断られ雪の降る寒い外に置き去りにされた。
それにある貴族の家に行ったときには、うまく食事が用意できずに熱いスープをかけられてやけどをした。
頭の中にあの頃の言葉たちがこだまする──