【完結】吸血鬼の花嫁~罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています~
「いいえ、調べはついています。ここにいた子供たちを貴族に売ったり、そしてこの子には貴族の家に身請けされるように仕向けてそのまま金品をかすめとった。それも、きちんと不正で得た汚い金を持っている貴族のもとに身請けされるようにして、王国へ報告できないようにした」
「神にその身を捧げた私が、そんなことするはずありませんよ」

 余裕の表情を浮かべる神父、そしてその様子を見て安心したような素振りを見せる見習いに、オズはさらに追及を続ける。

「私がここまで来て、こうして裁きを下しているのです。証拠を掴んでいないわけないでしょう?」
「……」
「複数貴族からの証言、そして人身売買先の船の持ち主の特定、さらに金の流動を含めた教会の不正帳簿の数々。ここにいる私の側近のロルフが全て書類を洗い直して矛盾を見つけましたよ」
「んぐ……」
「それから、人身売買は船の持ち主が細かく日記をつけてましてね、照合できましたよ。名前もここにいた子と同じ。いろいろ雑な仕事ですね、粗が目立ってましたよ」

 そう言うと、書類をロルフから受け取ってかざしながら神父と見習いのシスターに見せる。
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