【完結】吸血鬼の花嫁~罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています~
 二人は悔しそうに歯を食いしばって身体を震わせると、その場に倒れ込む。

「神父、あなたは牢獄で一生罪を償いなさい」

 神父に低い声色でそう言った後、横にいて悔しそうに床を見つめる彼女に声をかける。

「あなたの一言がフィーネの運命を、人生を変えてしまった。あなたのついた嘘で誰かを不幸にさせた、その罪をきちんと償いなさい」
「……ふん」

 納得のいかなそうな表情を浮かべる彼女に、思わずオズは声を荒らげる。

「フィーネがどれだけ苦しい思いで地下牢で過ごしたか、わかるか?! 心からの反省をしない君に救いはいらないだろう」

 そう言って、衛兵から槍を取り上げると、そのまま彼女に向ける。

「ま、待ちなさいよっ!! あなた人を殺す気なの?! やめてっ!! なんでもするから!! お願い!!!」

 涙ながらに懇願する彼女の様子を見たオズは、槍を彼女の横に思い切り指すと、そのまま出口に向かって歩き出す。

「安心しなさい、君も一生牢の中だよ」

 そう言うと礼拝堂を出ようとした。
 衛兵たちが神父たちを取り押さえようと動いたが、一歩遅かった。

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